ねこもかぞく
著者紹介(解説):堀本裕樹 著者紹介(マンガ):ねこまき

今日の俳句

第64回

爺棲めり五匹残りし猟犬と

(じいすめりごひきのこりしりょうけんと)

谷口智行

(たにぐちともゆき)

僕の故郷である和歌山は、イノシシやシカ狩りなどのときに活躍する
猟犬の「紀州犬(きしゅういぬ)」の産地である。
天然記念物に指定されている紀州犬だが、
自分より大きな獲物(えもの)に立ち向かっていく勇猛な性格を持っている。

この句には5匹の猟犬が爺さんと一緒に登場するが、
ただ共に棲(す)んでいるとしか言っていない。
「五匹残りし」ということは、むかしはもう少し数がいたのだろう。
またなんとなく爺さんの伴侶(はんりょ)である
婆さんも亡くなっているように思える。

爺さんは体が動くうちは猟をしていたけれど、
もう現役を引退して
5匹の猟犬と日々穏やかに暮らしているのだろう。
猟をしていた頃は、爺さんも血気(けっき)盛んであり
猟犬もハードな仕事をこなしていた。
時には力を合わせて大きな獲物を倒した。
今では爺さんは5匹の猟犬を連れて、
気ままな散歩に出掛けるような日常なのだろう。

爺さんと苦楽をともにして年を取っていく猟犬にも
哀愁を感じる。