ねこもかぞく
著者紹介(解説):堀本裕樹 著者紹介(マンガ):ねこまき

今日の俳句

第55回

よく歩く順に亀の子売られけり

(よくあるくじゅんにかめのこうられけり)

橋本五月

僕は和歌山の田舎育ちなので、亀の子を買うようなことはせずに、
河や池で自分の手で捕まえてきたものを飼っていた。
でも、友達のなかでは夜店で売っている
いわゆる銭亀(ぜにがめ)を買ってきて飼育していた子もいた。

それが最初は銭亀という呼び名の通り、
かたちが銭に似ていて小さいのだけれど、
だんだん成長してきて、しまいには
「え? この亀ってあのちっちゃかったヤツなん? うそやろ?」
というくらい大きくなるのだった。

この句からもやはり夜店の屋台の風景が思い浮かんでくるのだが、
ケースに入った何匹もの銭亀がよちよちと歩き回っているのだろう。
よく見ると、歩き方や歩くペースがそれぞれ違う銭亀たちのなかで、
「よく歩く順に」売れていったのである。
これは「元気のある順に」と言い換えてもいいだろう。

しかし、ペットを吟味(ぎんみ)して購入することは人間上位的でもあり、
どこかしら哀れな情景でもある。