ねこもかぞく
著者紹介(解説):堀本裕樹 著者紹介(マンガ):ねこまき

今日の俳句

第71回

寮の子に送る荷物を夜仕事に

(りょうのこにおくるにもつをよしごとに)

菱田トクエ

地方から上京してきて独り暮らしをはじめた学生にとって
待ち遠しいのは、実家から送られてくる宅配便の荷物であろう。

この荷物には親の愛情や気遣いがたくさん詰め込まれているものだ。
僕も大学生の頃、お米を中心にして漬物や菓子やなんかが、
段ボールにぎっちり詰められて送られてきたものである。
そしてそこには母からのメッセージが入っていたりする。

大学生だった僕は、故郷からそんな荷物が届くたびに
里心が付いたものだ。
東京に出てきたはいいものの、
夢のような華やかな暮らしが待っているわけではなく、
ただ一人っきりの時間がやたら増えただけだった。

この句は独り暮らしではなく
寮生活の我が子に荷物を送る作業をしている。
独り暮らしよりも寮生活のほうが親にとってはまだ安心かもしれないが、
それでも心配ではある。
「夜仕事」は秋の季語だが、
夜更けまで荷造りをする親の背に子への愛情が滲(にじ)んでいる。