本書の内容
「嫌い、認めない」から「嫌い、でも認める」へ!
「好き」があふれている現代、「嫌い」を口にするのはよくないという雰囲気が蔓延している。それに対して著者は異を唱える。「嫌う」ことは自他を見つめ、人間を成長させるものだ。なぜ嫌いなのかを考えることで自分と向き合い、自分が見えてくる。他者と自分の違いがわかる。自分が「嫌い」なら、他人の「嫌い」も認めなければならない。
このように「嫌い」は人を貶めたり、排除することではない。しかし日本社会は「嫌い」を抑圧し、「好き」と「みんな仲良く」ばかりを強要する。だが、好みも考えも感じ方も十人十色なのだから、「嫌い」があるのは当たり前で、「好き」と「嫌い」、すなわち異論が共存することが多様性なのだ。
「嫌い」という感情に罪悪感を持たず、もっと「嫌い」の効用を認めて、気楽に「好き」「嫌い」をいえる風通しのいい社会にしよう、と訴える生き方エッセイ。昨今SNSでの誹謗中傷問題が話題になったが、「排除にならない健全な嫌い方」や「上手な悪口のいい方」などの話は実用的で、わが身を振り返るのにも役立つ。辛口なタッチで日本式集団主義的な「みんな仲良し」社会の欺瞞を暴く痛快な書!
目 次
第1章 「嫌い」を認めない現代人
第2章 私のマーラー嫌い騒動
第3章 「嫌い」が人間を成長させる
第4章 拒絶・排除にならない上手な「嫌い方」
第5章 嫌いなもの・嫌いな人とのつきあい方
第6章 「みんな仲良し」社会の欺瞞
終 章 「嫌い」を口に出せる成熟社会
著者プロフィール
樋口裕一
(ひぐち・ゆういち)
1951年、大分県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程満期退学。フランス文学、アフリカ文学の翻訳家として活動するかたわら、受験小論文指導の第一人者として活躍。多摩大学名誉教授。通信添削による作文・小論文の専門塾「白藍塾」塾長。MJ日本語教育学院学院長。著書には250万部の大ベストセラーとなった『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)をはじめ、『65歳 何もしない勇気』(幻冬舎)、『「頭がいい」の正体は読解力』(幻冬舎新書)、『65歳から頭がよくなる言葉習慣』(さくら舎)などがある。
担当より一言
「嫌い」を呑み込み、口にしないことが大人、とかつて思っていました。が、意見のぶつかり合いや摩擦があるから新しいことが生まれることも確か。気軽に異論をいえる「健全な嫌い方」が必要だと思います。