本書の内容
知られざる大女優の美しくリッチで波乱の生き方
谷洋子(1926~1999)の祖母・万世は鏑木清方の有名な美人画のモデル、母・妙子はモダンガールで佳人薄命の美人。文字通り美の家系のセレブが、津田塾大を卒業後、三年間という条件で単身、パリに留学。しかし、本心はそのまま滞在し、パリで女優を目指すつもり。(鏑木の美人画「築地明石町」は長いこと行方がわからなかったが、国立近代美術館が購入、2019年の秋に展覧会が開催される)。
谷洋子は、歌手アズナブールなどが出演している最高位キャバレー「クレイジー・ホース」で稼ぎながら、女優を目指し、フランス映画、アメリカ映画、イタリア映画に出演、1957年にイギリス映画の大作「風は知らない」で主役を勝ち取った。この映画で谷洋子は欧米では完全に国際映画スターとして認知され、出演依頼が殺到する。その後、数々の著名人、藤田嗣治、レジェ、ブラック、ブラマンク、ローランサンなどと交流、富と名声を手にする。
目 次
プロローグ◎巴里からパリへの連なり
第一章◎出生の地パリへ
第二章◎祖母・母から恋と知ののDNA
第三章◎運命の出会い、映画界へのデビュー
第四章◎国際女優への脱皮と離婚
第五章◎華やかなキャリアの”区切り”
第六章◎取り巻く人々の”愛”
第七章◎「自由人」の美学
第八章◎パリに死す
エピローグ◎魅力的な一匹の仔猫
著者プロフィール
遠藤突無也
(えんどう・とむや)
東京都に生まれる。歌手、日仏映画研究家。1992年よりパリでの歌手活動を開始。1996年、世界的な作曲家アンジェロ・バラダメンテイに見込まれて「Ruby Dragonflies」をリリース。2007年、パリのオランピア劇場でのコンサートに成功し、仏マスコミに大きく取り上げられる。2012年、「PARIS KAYO」(戦後の日本歌謡曲集)を発表。2017年に日本映画音楽のアンソロジーの「Cinéma」をリリース。著書には『日仏映画往来』(松本工房)などがある。
担当より一言
担当者として、谷洋子のことは未知でした。しかし、知れば知るほど、わずか20年前にパリで逝去した、とんでもなく凄い日本人がいたことに驚愕するばかりでした。知られざる大女優ということ以上に、谷洋子の考え方、生き方に魅了される一冊だと思います。