本書の内容
何が日本人を戦争にひきずり込んだか!
昭和17年(1942年)、21歳で入営。野砲少尉としてフィリピン戦線で闘い、捕虜となった戦争体験をもつ著者。フィリピン・ルソン島で終戦を迎えるまでの日々は凄惨を極め、かつ復員後もマラリアや結核の再発に苦しめられ29歳まで就職すらできなかった「死にぞこない」と自称。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』で脚光をあびた後、1974年、文藝春秋より『ある異常体験者の偏見』(絶版)を上梓。自らの体験にもとづき日本軍の特異な問題をあぶりだし、衝撃をもって読まれたものを、さらに補強し「増補版」として出版。
目 次
ある異常体験者の偏見 / 軍隊語で語る平和論 / 中国兵は強かった / アントニーの詐術 / 悪魔の論理 / 聖トマスの不信 / アパリの地獄船 / 鉄梯子と自動小銃 / マッカーサーの戦争観 / 洗脳された日本原住民 / 横井さんと戦後平和 / 一億人の偏見 / 【増補版 特別原稿】 ある下級将校の復員体験 / ジャングルを出る
著者プロフィール
山本七平
(やまもと・しちへい)
1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。以後、「日本人論」で社会に大きな影響を与えてきた。その日本文化と社会を分析する独自の論考は「山本学」と称される。評論家。山本書店店主。1991年、逝去。
著書には、『「空気」の研究』『私の中の日本軍』(以上、文藝春秋)、『日本はなぜ敗れるのか』(KADOKAWA)、『帝王学』(日本経済新聞出版)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』『戦争責任は何処に誰にあるか』『渋沢栄一 日本の経営哲学を確立した男』『日本型組織 存続の条件』(以上、さくら舎)などがある。
担当より一言
文藝春秋で、2011年に絶版になった名著が復活しました。装いも新たに、特別原稿も加え、日本社会を切れ味鋭く分析する「山本学」の中では珍しく実体験の一冊です。