本書の内容
時代を変えた名作から日本が見えてくる!
日本最古の書物『古事記』から村上春樹まで、奈良~現代の1300年間に生まれた日本の名作64を精選し、意外な成り立ちや時代背景、作者の知られざるエピソードなど、盛りだくさんで紹介。博学の著者ならではのひねった視点が面白い! 時代と日本をつくったエポックメーキングな名作が味わい深いイラスト入りで勢揃い!
▼唐の脅威に対して日本の正統性を主張するための『古事記』▼愛人の侍大将を失った芭蕉の喪失感が生んだ『おくのほそ道』▼「いい人はいいね」に日本的な精神を見いだした『伊豆の踊子』(川端康成)▼1999年ならぬ1052年におびえた平安の極楽往生マニュアル『往生要集』(源信)▼時代の大転換期を生き抜く人々の無常を描いた『平家物語』▼BLの世界を描いた『雨月物語』(上田秋成)▼コロナと同じくコレラ退治の珍説・奇説を伝える『虎列剌珍聞』▼明治の文豪は盗作し放題だった!?『吾輩は猫である』(夏目漱石)▼世界的問題作『沈黙』(遠藤周作)ほか。
目 次
第1章 奇跡と天才―日本をつくった名作たち
・日本らしさとは「幽玄」のこと/『新古今和歌集』
・元寇の年に生まれた吉田兼好/『徒然草』
第2章 精髄と多才―心を揺さぶる言葉の粋
・意味・語感が変わった「おもしろ」/『古事記伝』
・北海道から東京まで逃亡一〇〇〇キロ/『五重塔』
第3章 人生の諸相―ままならぬ世の中を生きる
・鬱屈した社会を大げさな数でぶっ壊す!/『好色一代男』
・「カッコわるい」自分への嫌悪/『作家論』
第4章 混迷と進化―時代の転換期を見つめる
・謎の言葉「とうとうたらりたらりら」/『風姿花伝』
・「近代化は肉食から」と説いた福澤諭吉/『肉料理大天狗』
・芸術至上主義のヤバい小説/『地獄変』
第5章 剽窃と翻案―明治の文豪びっくり裏事情
・「『猫』は盗作」の指摘さまざま/『吾輩は猫である』
・『イワンの馬鹿』からネタを拝借
・明治文学盗作事情 ほか
著者プロフィール
山口謠司
(やまぐち・ようじ)
1963年、長崎県に生まれる。大東文化大学文学部教授。博士(中国学)。大東文化大学大学院に学ぶ。1989年よりイギリス、ケンブリッジ大学東洋学部に本部をおいて行った『欧州所在日本古典籍総目録』編纂の調査のために渡英。以後、10年におよびスウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、イタリア、フランスの各国図書館に所蔵される日本の古典籍の調査を行う。その後、フランス国立社会科学高等研究院大学院博士課程に在学し、中国唐代漢字音韻の研究を行い、敦煌出土の文献などをフランス国立図書館で調査する。
著書にはベストセラー『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)をはじめ、『ん』『日本語通』(以上、新潮新書)、『日本語を作った男』(集英社インターナショナル、第29回和辻哲郎文化賞受賞)、『文豪の凄い語彙力』『一字違いの語彙力』『頭のいい子に育つ0歳からの親子で音読』『ステップアップ0歳音読』(以上、さくら舎)などがある。
担当より一言
「歌は世につれ、世は歌につれ」というが、名作も時代から生まれて、時代を変えてきた。作品の時代に生きた人たちの喜怒哀楽、日本の激動の歴史も伝わってきます!