本書の内容
こんなにスゴ面白い日本人指揮者がいた!
- 僕のオーケストラは毎週木曜日に定期演奏会があるが、毎回違うプログラムなのだ。これがきつい。毎週違う交響曲を理解して、それを3日間でオーケストラに伝え、お客さんにも受けて、興行的にも成功しなければならないのである。毎回、最後の曲を振り終え、振り向くのが怖かった。「拍手してちょーだい!」と心のなかで祈った。
毎週、さまざまな国籍の音楽家と共演する。言葉が通じない場合も多々あるし、また、トラブルもある。演奏会当日、オーケストラのマネジャーに、「オザキさん、ごめん、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の5番に変わったよ。あなたの楽譜は今日ソリストが持ってくるから心配いらないよ」とニコニコしながら言われた。ソリストも違う人に変わっていた。
あの~、いくらなんでもこれ、変更多すぎでしょ?
――ルーマニアを舞台に繰り広げられる「マエストロ・オザキ」の孤軍奮闘エッセイ。初心者でもクラシックの世界が楽しめる。
笑えて、奥深く、そして面白い!!
目 次
第1章 | いきなりマエストロ暮らし |
指揮は何語でしますか? ドラキュラの呪い オーケストラを操る裏方 第九はつらいよ |
|
第2章 | マエストロは一人旅 |
恐怖の譜面 バカにされちゃいかん! お気に入りの商売道具 なぜ、それを言う!? 指揮棒一本、さらしに巻いて |
|
第3章 | マエストロの想い |
なんか変! ITについていけない人たち 騎士の誕生 ハンガリー人の魂の音楽 ある指揮者の過去 |
|
第4章 | マエストロは休めない |
フラフラになる三大Bコンサート いい席はどこ? フェラーリ級の男がやってきた! ステージを降りたヴァイオリン弾き エンドレス「ブン・チャッチャ」 |
|
第5章 | マエストロの楽屋裏 |
ベートーヴェンはなぜボサボサ頭? パクリを恐れたパガニーニ 「運命」との格闘 マーラーから演奏者への指示 モーツァルトはエライのだ! |
|
第6章 | マエストロの美味美観 |
決死の突撃訪問レッスン あの日の「イマジン」 世界でいちばん美しいところ 「薩摩人です」 三分間のドラマ |
|
著者プロフィール
尾崎晋也
(おざき・しんや)
1959年、鹿児島県谷山市(現・鹿児島市)に生まれる。指揮者。桐朋学園大学で小澤征爾ほかに師事。卒業後、ヨーロッパ各地、アメリカで研鑽を積み、ペンシルベニア州で指揮活動をはじめる。1992年、ルーマニアでおこなわれた国際指揮コンクールに入賞し、1994年、ルーマニア国立トゥルグ・ムレシュ交響楽団常任指揮者に就任。その後、同楽団音楽監督のほか、トランシルバニア室内管弦楽団音楽監督、国立ディヌ・リパッティ交響楽団首席客演指揮者もつとめる。
以来、ルーマニアと日本を行き来し、両国で指揮活動をつづけながら、アメリカ・ヨーロッパ各地のオーケストラにも出演している。これまでの芸術文化に対する功績が認められ、2005年にルーマニアの上級騎士勲爵士(コマンドール)を、2014年には日本の外務大臣表彰を受けた。2014年で常任指揮者就任20周年になる。
担当より一言
「マエストロ・オザキ」、ルーマニアで大人気の名指揮者で、勲章までもらっているスゴイ方です。教養とユーモアあふれるエッセイも絶品! マエストロ、面白すぎます~!!