本書の内容
日本発の「ペロブスカイト太陽電池」はこうして生まれた!
次世代太陽電池の大本命「ペロブスカイト太陽電池」は日本発の新技術! いま世界で実用化競争が激化している。薄くて軽いフィルム状のペロブスカイト太陽電池は、曲げたりフレキシブルな形にでき、印刷技術を使って簡単につくれる。発電効率がとても高く、曇りや雨の日、室内照明でも発電できる。社会実装されれば街全体が分散型発電所になることも夢ではない(2025年、大阪うめきた駅で実用化予定)。
じつは開発当初は性能が悪く、誰からも顧みられなかった。それがどうやって世界を席巻する大逆転を収めたのか。そのミラクルをもたらしたのが第一人者・桐蔭横浜大学の宮坂力教授だ。ペロブスカイト太陽電池開発のドラマチックな展開と熾烈な研究開発の舞台裏を明かすとともに、決してエリートではなかった自身のデコボコ道を語る。大学院卒業後、富士フイルムで研究生活を送り、つねに「新しいもの」「面白さ」を追求してきた研究一途の人生がペロブスカイト太陽電池として大きく結実した。ノーベル賞有力候補と最注目される第一人者が明かす、面白くて元気が出るストーリー!
目 次
第1章 ペロブスカイト太陽電池の大逆転開発物語
第2章 知識ゼロでもわかるペロブスカイト太陽電池
第3章 不本意から切り開かれた研究者人生
第4章 未来を変える研究は意外なところに
著者プロフィール
宮坂力
(みやさか・つとむ)
1953年、神奈川県に生まれる。1976年、早稲田大学理工学部応用化学科卒業。1981年、東京大学大学院工学系研究科合成化学博士課程を修了(工学博士)、富士写真フイルム株式会社入社。足柄研究所主任研究員を経て、2001年より桐蔭横浜大学大学院工学研究科教授。
2005~2010年、東京大学大学院総合文化研究科客員教授。2004年、ペクセル・テクノロジーズ株式会社を設立、代表取締役。2017年より桐蔭横浜大学特任教授、ならびに東京大学先端科学技術研究センター・フェロー。2020~2023年、早稲田大学先進理工学研究科客員教授。
専門は光電気化学、有機系の光電変換技術、とくにペロブスカイト太陽電池の開発。主な受賞には、クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞、加藤記念賞、市村学術賞功績賞、山崎貞一賞、英国RANK賞などがある。
2009年にペロブスカイト太陽電池の論文を発表。現在はペロブスカイトの化学組成を改良して効率22%以上の太陽電池を開発している。軽量でフレキシブルなプラスチックフィルム型に作ることができ、太陽光のみならず屋内の照明にも高い効率でエネルギー変換をするペロブスカイト太陽電池は、次世代太陽電池の本命とされ、ノーベル化学賞受賞の有力候補といわれている。
担当より一言
都市だけでなく地方、日本だけでなく海外、自動車、外壁やベランダ、モバイルと、あらゆるところが小型発電所になる画期的なペロブスカイト太陽電池。想像するとわくわくしてきます。バクテリアを使ったバイオデバイス開発の話など著者の面白エピソードが楽しい!