本書の内容
過去の記憶と厳しい現実、どう脱却するか!
社会的養護の当事者活動を行う著者の、30年分とは思えない嵐のような人生の記録。
婚外子、無国籍、義父からの虐待、児童養護施設での日々、最愛のフィリピン人の母の死、日本人の実父や義父への憎悪、就職先でいきなり背負わされた多額の借金、孤独、周囲の応援の重圧、信頼できる大人たちとの出会い、「家族」への憧れ、義父との再会――
「母に危害が及ぶのが怖くて、虐待されていることを誰にも言えなかった」「施設に入って寂しくなるということはなかった。それまでもずっと孤独だったから」「施設は虐待されない安心・安全な場所。帰る場所がなくなる、施設退所後のほうが大変だった」
淡々と語られる言葉の数々。傷を負った子どもは、どのように過去を糧にし、どんな社会を思い描いて進むのか。世の中にいる、無数の虐待被害者・社会的養護経験者のうちのひとつの声を、届ける。
目 次
第1章:虐待の日々
第2章:施設での暮らし
第3章:母の死
第4章:青春時代
第5章:社会の荒波
第6章:自分のルーツ
第7章:過去との対峙
第8章:「当事者」として生きていく
著者プロフィール
ブローハン聡
(ブローハン・さとし)
1992年、東京にてフィリピン人の母、日本人の父の間に婚外子として生まれる。
4歳から11歳まで、母の結婚相手(義父)から虐待を受ける。11歳のときに小学校の先生が虐待に気づき、保護されて児童養護施設へ。14歳のときに母を乳がんで亡くす。施設卒園後は病院の看護助手、ドコモショップなどで働く一方、フリーのモデル・タレントとして活動。現在は芸能活動を続けながら、埼玉県の一般社団法人コンパスナビで、社会的養護出身の若者の居場所・拠り所をつくる「児童養護施設退所者等アフターケア事業(クローバーハウス)」に携わる。また、児童養護施設出身者として、セミナーやトークイベントなどへの出演やYoutubeの配信など、積極的に当事者活動を行っている。
◉THE THREE FLAGS 希望の狼煙ウェブサイト
担当より一言
著者の人生は、いったい何年分の経験だろうと思うほど困難の連続ですが、それを超えていくエネルギーに圧倒されます。また、「あくまでも、当事者のひとりとしての声だ」という主張に、「施設出身の人」「虐待被害者」といったレッテルを貼って物事を見ることで、そのなかにいる個人が見えなくなっていることがあるのかもしれないと気づかされます。社会的養護、虐待、生きづらさを抱える若者の支援などに興味がある方に、ぜひ読んで頂きたい1冊です。