本書の内容
ないないづくしのしぶとい生きざま!
海の底にぼってりと横たわるナマコ。馴染みはあるけれど、あれが何かと聞かれれば、「……何だろう?」となってしまう人も多いのではないだろうか。
本書では、そんな謎多きナマコを物語+解説のかたちで徹底解剖。ナマコには目も耳も心臓も脳もないが、海水を浄化し、海の底でひっそりと、りっぱに生きている。ナマコの摩訶不思議な生きざまは、いままでの私たちの考え方を超えた視点を示してくれる。せわしない現代人に贈りたい科学読み物。
★カラー口絵4ページ!本文64ページカラー!
◉生物学的にナマコはナニ?
⇒棘皮動物(きょくひどうぶつ)。ウニ、ヒトデ、ウミユリなどの仲間。
◉食べ物は?
⇒砂や泥を食べ、海底をきれいにする。
◉どんな体?
⇒目、耳、鼻、心臓、脳はない。呼吸はお尻と皮膚で。骨片と筋肉が少し。皮膚の硬さは自由自在。
◉いつからいる?
⇒だいたい5億年前(ヒトは700万年ぽっち)。
◉ほかの特徴は?
⇒ストレスを与えられると溶ける、皮膚を切断して逃げる、2つに切ると2匹になる、魚が即死するような猛毒をもつ、お尻の中に魚をすまわせる、浅瀬から深海まで生息、種類は約1700種 ……ナド
目 次
著者プロフィール
一橋和義
(いちはし・かずよし)
1972年、鳥取県米子市に生まれる。神戸大学大学院修了。東京大学医学部附属病院臨床研究ガバナンス部助教。URAとして臨床研究に関する支援業務に従事している。学生の頃からナマコの生理・生態の研究に没頭し、現在はナマコの音受容の研究等に取り組む。その他にも音楽療法やサイエンスコミュニケーション、心理学など幅広い領域で研究やアウトリーチ活動を行っている。ナマコの生態を歌にした「なまこも~ど」をYouTubeなどで公開中。
担当より一言
知れば知るほど「なんだこの生きものは!」という気持ちになります。でもナマコにしてみたら、人間こそが「なんだこの生きものは!」なのかもしれません。目・耳・脳などがある人間を中心に考えるという自分の視点の偏りにも気づかされます。ぜひ海にお出かけの際は、ひっそりと佇むナマコにも注目してみてください(許可のない採捕は禁止されています)。