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歴史・哲学・宗教

ネガティヴ・ケイパビリティで生きる

答えを急がず立ち止まる力

谷川嘉浩:著
朱喜哲:著
杉谷和哉:著

4刷

定 価:1980円

発売日:2023年2月9日

頁 数:288ページ

判 型:四六判/並製

ISBN:978-4-86581-375-3

本書の内容

現代社会に必要なのはネガティヴな力!

スピードが要求される加速社会を生きる私たちは、日々、即断即決をよしとする世界に暮らしている。物事を性急に理解し、早々に結論を出し、なんでも迅速に解決しようとする。しかし、それだけでいいのだろうか。
「ネガティヴ・ケイパビリティ」とは謎や不可解な物事、問題に直面したときに、簡単に解決したり安易に納得したりしない能力のこと。即断せずわからないままに留めながら、揺れながら考え続ける力とも言える。先行き不透明で変化に満ちたこの世界を生きるためには、「これで大丈夫なのだろうか」と自分を疑い、不確実性や謎にまみれつつ、より深く本質に迫ろうとする姿勢が必要だ。
新進気鋭の哲学者・谷川嘉浩、哲学・倫理学とビジネスを架橋する哲学者・朱喜哲、エビデンスに基づく政策を研究する公共政策学者・杉谷和哉の3人の対話によって、データビジネス、アテンションエコノミー、SNS、倫理・哲学、教育、政治、陰謀論、アニメなど、さまざまな切り口から現代社会を読み解き、ネガティヴ・ケイパビリティの実現可能性を描き出していく知の饗宴!

目 次

第1章 「一問一答」的世界観から逃れる方法    
――陰謀論、対人論証、ファシリテーション
第2章 自分に都合のいいナラティヴを離れる方法
――フィクション、言葉遣い、疲労の意味
第3章 「アイヒマンにならないように自分の頭で考えよう」という言葉に乗れない理由
――コンサンプション(消費)、アテンション(注目)、インテンション(意図)
第4章 信頼のためには関係が壊れるリスクを負わねばならない
――マーケティング、トラスト、脱常識
第5章 「言葉に乗っ取られない」ために必要なこと
――SNS、プライバシー、言葉の複数性
第6章 自分のナラティヴ/言葉を持つこと
――倫理、相対化、ナッジ
第7章 公と私を再接続するコーポラティヴ・ヴェンチャー
――関心、実験、中間集団
第8章 イベントとしての日常から、エピソードとしての日常へ
――観察、対話、ナラティヴ

著者プロフィール

谷川嘉浩

(たにがわ・よしひろ)
1990年兵庫県に生まれる。哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師。単著に『スマホ時代の哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『鶴見俊輔の言葉と倫理』(人文書院)、『信仰と想像力の哲学』(勁草書房)、共著にWhole Person Education in East Asian Universities, Routledgeなどがある。

朱喜哲

(ちゅ・ひちょる)
1985年大阪府に生まれる。哲学者。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、大阪大学社会技術共創研究センター招聘教員。主な論文に「陰謀論の合理性を分節化する」(『現代思想』2021年5月号)、共著に『信頼を考える』(勁草書房)、『世界最先端の研究が教える すごい哲学』(総合法令出版)、共訳に『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』(勁草書房)などがある。

杉谷和哉

(すぎたに・かずや)
1990年大阪府に生まれる。公共政策学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得認定退学。博士(人間・環境学)。現在、岩手県立大学総合政策学部講師。著書に『政策にエビデンスは必要なのか』(ミネルヴァ書房)、論文に「EBPMのダークサイド:その実態と対処法に関する試論」(『評価クォータリー』63号)、「新型コロナ感染症(COVID-19)が公共政策学に突き付けているもの」(共著、『公共政策研究』20号)などがある。

担当より一言

すごいスピードで情報や日々が過ぎていくなか、「何かおかしい」と感じている方、疲れを感じている方にオススメです。学校教育などで学ぶ問題解決力などの「ポジティヴ・ケイパビリティ」に対して、「ネガティヴ・ケイパビリティ」とはどういうものか、どうやってそれを身につけたらいいか、考え方やヒントがたくさん詰まっています。「対話」から新しい知が生み出されていく場に立ち会える感覚もじつに愉しく知的面白さが満載!