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歴史・哲学・宗教

平和の武将 徳川家康

二五〇年の泰平の世をつくった知略の将軍

鈴木荘一:著

定 価:1650円

発売日:2022年12月8日

頁 数:244ページ

判 型:四六判/並製

ISBN:978-4-86581-370-8

本書の内容

日本の独立と繁栄を実現した将軍の激動!

江戸幕府を開いた徳川家康の人生は危機の連続だった。人質だった幼少期、信長との同盟と信玄上洛阻止、本能寺の変後の遁走、天下分け目の関ヶ原……。さまざまな危機の中でもこれまであまり語られてこなかったのがキリシタン勢力の日本征服計画である。信長・秀吉・家康の時代は、まさに大航海時代(15世紀初~17世紀初)の真っただ中。1492年コロンブスのアメリカ到達、1533年スペインによりインカ帝国滅亡、1600年イギリスが東インド会社設立と、西欧列強が世界征服事業を進めていた時期だった。特にポルトガル・スペインはキリスト教布教と海外征服がセットになっており、実際に日本人を奴隷として海外に輸出する奴隷貿易もおこなわれていた。宣教師と本国の間では日本征服計画が語られ、迫る植民地化の危機。すでに激しい一向一揆で宗教問題の難しさは家康も痛感しており、日本近海での軍事紛争も起こっていた。「商教分離」だった徳川幕府は、海外からの間接侵略を未然に防ぐべく、禁教そして鎖国へと大きく舵を切った。「徳川の平和(パックス・トクガワーナ)」はそうして成立したのである。戦国の世を生き抜き、日本の独立と江戸250年の泰平の礎を築いた徳川家康、その知略と激動を描く!

目 次

第一章 竹千代、悲哀の時代
第二章 信長と家康の雄飛
第三章 日本人奴隷を解放した秀吉
第四章 家康の元和偃武(げんなえんぶ)
第五章 スペインの日本征服計画 
第六章 島原の乱とポルトガルの影
第七章 日本に発展をもたらした「徳川の平和(パックス・トクガワーナ)」

著者プロフィール

鈴木荘一

(すずき・そういち)
1948年、東京に生まれる。近代史研究家。1971年東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行にて審査、産業調査、融資、資金業務などに携わる。2001年退職し、以後歴史研究に専念、「幕末史を見直す会」代表として、活動している。著書には『明治維新の正体』『政府に尋問の筋これあり』(以上、毎日ワンズ)、『日露戦争と日本人』『日本征服を狙ったアメリカの「オレンジ計画」と大正天皇』(以上、かんき出版)、『アメリカの罠に嵌まった太平洋戦争』(自由社)、『幕末の天才 徳川慶喜の孤独』『陸軍の横暴と闘った西園寺公望の失意』『昭和の宰相 近衛文麿の悲劇』『名将 山本五十六の絶望』(以上、勉誠出版)、『名将 乃木希典と帝国陸軍の陥穽』『日本陸海軍 勝因の研究』『西郷隆盛と大久保利通の明治維新』(以上、さくら舎)などがある。

担当より一言

日本人が実際に奴隷として輸出されていたと聞くと、舵取りを間違えば、日本もアステカやインカのような運命になっていたかもしれない。ポルトガルが加勢してくれると信じていた島原の乱の信者たちの悲劇も重い歴史である。