本書の内容
2500年前に現代に通用する社会を形成したローマ!
パリ、ロンドンをはじめとする現代の都市には、上下水道、コンクリート建造物、円形スタジアム、劇場、公衆水洗トイレなどの快適な設備や施設が整っている。これらはもともと古代ローマにあったもの。現代の都市はいわばローマの再現なのだ。ローマ建国から西ローマ帝国滅亡まで(紀元前753年~473年)約1200年。ローマは世界国家を目指し、史上初の共和政、成文法や情報公開制度を生み、人権意識、公共概念、多彩な民主制度を育んだ。権力から民を守る護民官、元祖ベーシック・インカムの穀物法などは現代よりも先進的だ。現代の2倍の強度のコンクリートを用いた水道橋、コロッセオなど強靭な建造物を建造。ローマ街道、ローマ水道などインフラも整備し、それらは2000年を経た今も残っている。
本書はローマ1200年の歴史と、驚くべき技術力、ローマが育んだ民主主義思想を紹介する。歴代皇帝の統治と発想力、技術(ハード)、思想(ソフト)は深く結びついて国家は隆盛し、そして衰退した。ローマの叡智と歴史に学ぶべきものは今なお多い。広範なローマの叡智を深掘りし、歴史・ハード・ソフトから多面的にローマの凄さを解説!
目 次
第1章・ローマは現代文明の原型
第2章・史上初の共和政――ローマ一二〇〇年史Ⅰ
第3章・世界国家を目指したカエサル――ローマ一二〇〇年史Ⅱ
第4章・カエサルに学ぶ
第5章・帝政ローマの繁栄と凋落――ローマ一二〇〇年史Ⅲ
第6章・ローマ帝国を支えた技術力
第7章・ローマが育てた民主主義の思想
第8章・今も生きるローマ人の箴言
著者プロフィール
藤谷道夫
(ふじたに・みちお)
1958年、広島県に生まれる。慶應義塾大学文学部教授。イタリア学会会長。慶應義塾大学仏文科卒業。筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科文学(西洋古典)専攻単位取得満期退学。イタリア政府給費留学生としてフィレンツェ大学に留学。専門はルクレーティウスをはじめとするラテン文学とダンテ。著書には『ダンテの『神曲』を読み解く』(教育評論社)、『ダンテ『神曲』における数的構成』(慶應義塾大学出版会)、訳書にはマリーナ・マリエッティ『ダンテ』(白水社クセジュ文庫)、ダンテ『神曲 地獄篇(第1歌~第17歌)』(須賀敦子共訳、河出書房新社)などがある。
担当より一言
「古代ローマは史上初のグローバル化を実現した社会だった」「情報公開・保存制度が進み、紀元前1世紀の日々のことが記録され現在でもわかる」など驚きの話が盛りだくさん。ポンペイ展を見たとき、なぜ美術品を屋外に展示するのか謎だったが、本書でそういうローマ人の思考もよくわかった。個人的には「原子論でわかる民主主義」が超おすすめです!