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社会・政治

「世間教」と日本人の深層意識

みんな一緒でラクがいい

佐藤直樹:著

2刷

定 価:1650円

発売日:2022年5月11日

頁 数:208ページ

判 型:四六判/並製

ISBN:978-4-86581-342-5

本書の内容

日本人を動かしているのは「世間教」!

日本人は無宗教といわれるが、じつは「世間」を信仰する「世間教」の教徒だった! 他人に迷惑をかけないよう気遣い、なにかしてもらったらお返しを忘れない。災害にあっても暴動も略奪も起きず、一致団結して粛々と各自の務めを果たす日本人。日本人のやさしさや礼儀正しさといわれるこうしたプラス部分が、マイナス向きに発揮されるとどうなるか。他人を監視し同調圧力をかけるコロナ禍の自粛警察、ルールに従わない者は村八分、つねに見返りを要求し、「出る杭は打たれる」で成功者へのねたみ、やっかみ、足の引っ張り合いがはなはだしい。学校の中にも世間教がはびこり、いじめはその典型である。なぜこうなのか、
本書は「世間教」のしくみや構造を、身近な事例で読み解いていく。世間教には4つの教義(お返しルール・身分制ルール・みんな一緒ルール・呪術性ルール)があり、葬式の後に塩をまくなど、それらは日常深く組み込まれている。キリスト教が普及しなかった日本には「個人」「社会」「公共」が存在しない。法のルールではなく世間のルールで動いている等々、なるほどな面白さ。日本語を使う限り世間はなくならない。「世間教」といかにうまくやっていくか!

目 次

プロローグ 日本人の不思議な生き方
第1章 日本人が信じる「世間教」ってなんだ?
第2章 「個人」と「社会」と「公共」がない日本
第3章 「世間教」の4つの教義
第4章 身のまわりの「世間教」
第5章 「世間教」とうまくやっていく7つの方法

著者プロフィール

佐藤直樹

(さとう・なおき)
1951年、宮城県に生まれる。九州大学大学院博士後期課程単位取得退学。英国エジンバラ大学法学部客員研究員、福岡県立大学助教授、九州工業大学教授などを経て、九州工業大学名誉教授。専門は世間学、現代評論、刑事法学。著書にはコロナ禍で話題となった『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(鴻上尚史との共著、講談社現代新書)、『「世間」の現象学』『犯罪の世間学』(以上、青弓社)、『暴走する「世間」で生きのびるためのお作法』『目くじら社会の人間関係』(以上、講談社+α新書)、『なぜ日本人はとりあえず謝るのか』(PHP新書)、『なぜ日本人は世間と寝たがるのか』(春秋社)、『加害者家族バッシング』(現代書館)などがある。

担当より一言

自分自身も「ひと様に迷惑をかけてはいけない」と親や祖母から言われて育ったため、思い当たることがかなり多い。「『他人を害しない限り』その人間の行動を規制することはできない、というのが自由社会の原理だと、ミルはいいます。日本では『他人を害しない限り』の部分が、『他人に迷惑をかけない限り』という言い方になるわけで、その敷居がかなり低いところが問題だと思います」。その通り!