本書の内容
新聞の底力の復活はあるか!
デジタル化の荒波は新聞社をも襲っている。紙の部数が激減するなか、デジタル版を推進する新聞社の内部で何が起こっているのか。元大手新聞記者が、デジタルファーストで疲弊する取材記者と内部崩壊していく新聞社の実態を描く!
デジタルファーストの号令一下、アクセス数を稼ぐためのネット優先態勢が始まった。記者会見で一心不乱にキーボードを打つだけの記者、現場に行かずSNSと動画で取材をすますだけの記者、記事の中身よりもネット受けを求められる記者……。速報性と合理化の前に「原稿は足で書け」は死語となったのか。かつて新聞社が競った特ダネはいまや週刊文春にお任せ。取材現場の弱体化はとどまるところを知らない。しかし、ネットニュースの大元は紙の新聞記事である。プロの取材力とチェック体制に裏打ちされたニュースこそがネット報道を支えているのだ。取材現場から失われゆくものに警鐘を鳴らし、新聞の底力を訴える!
目 次
第1章 衰弱していく新聞記者たち
第2章 デジタルファーストで劣化する新聞社
第3章 安逸になった取材現場
第4章 消えた特ダネへの執着
第5章 合理化と効率化がもたらす内部崩壊
第6章 新聞の底力
著者プロフィール
坂 夏樹
(さか・なつき)
1961年、大阪府に生まれる。全国紙の元記者。論説委員などを歴任したほか、大阪や京都を中心に警察、司法、行政などを主に担当した。一方で、バブル経済期の闇社会の実態に迫る特命取材にたずさわったほか、平和問題や戦争体験、人権問題を取材テーマにした。
著書には『千二百年の古都 闇の金脈人脈』『命の救援電車』『一九一五年夏 第一回全国高校野球大会』(以上、さくら舎)がある。
担当より一言
ロシアのウクライナ侵攻も、軍事行動とSNSでの情報戦などを組み合わせた「ハイブリッド戦」だと聞く。フェイクニュースが当たり前となった時代だからこそ、信頼性の高い新聞のニュースが求められると思う。