本書の内容
勝っていた時代の日本陸海軍の成功の本質!
日清戦争は、首相と軍の参謀次長が暴走する現地軍のトップを解任し、早期終結させて被害を最小限に抑えた⁉ 玉砕」が相次ぐ太平洋戦争で、5600名余りの将兵を無傷で全員救出した指揮官がいた⁉ 装甲の薄さが弱点の戦車で勝つ方法は、撃たれる前に敵の前を走り抜けること⁉
本書では、いままであまり焦点の当たらなかった、日本の対外戦争(初の対外戦争である日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、太平洋戦争)における日本陸海軍の「成功例」を取り上げ、その勝因を読み解き、また、そういった成功があったにもかかわらず、なぜ昭和の大敗に至ったのかを検証します。
戦争における作戦や判断が何もかも誤っていたとまとめるのではなく、冷静かつ謙虚に綿密な振り返りや分析をすることで、失敗・成功、どちらからも教訓を得て、生かしていくことができます。広い視野、国の遠望、平時における有事への備え、部下への愛、的確な状況把握と冷静な判断、弱点の超克—―勝っていた時代の日本陸海軍のエピソードには、現代を生き抜くためのヒントが満載です。
目 次
第一部 太平洋戦争
第一章:キスカ島撤退作戦の勝因
第二章:シンガポール攻略戦の勝因
第二部 日清戦争 初の対外戦争
第一章:ロシアを恐れた日本
第二章:日清戦争の勝因
第三部 日露戦争と日本陸軍
第一章:旅順攻略戦の勝因
第二章:遼陽会戦の勝因
第三章:奉天会戦の勝因
第四部 日本海海戦と第一次世界大戦
第一章:日本海海戦(日露戦争)の勝因
第二章:第一次世界大戦の勝因
著者プロフィール
鈴木荘一
(すずき・そういち)
1948年、東京に生まれる。近代史研究家。
1971年東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行にて審査、産業調査、融資、資金業務などに携わる。2001年日本興業銀行を退職し、以後歴史研究に専念、「幕末史を見直す会」代表として、活動している。
著書には『明治維新の正体』(以上、毎日ワンズ)、『日露戦争と日本人』『日本征服を狙ったアメリカの「オレンジ計画」と大正天皇』(以上、かんき出版)、『アメリカの罠に嵌まった太平洋戦争』(自由社)、『幕末会津藩 松平容保の哭』『雪の二・二六』『名将 山本五十六の絶望』(以上、勉誠出版)、『名将 乃木希典と帝国陸軍の陥穽』(さくら舎)などがある。
担当より一言
歴史を学ぶというのは、出来事の良い面、悪い面の両方を見てこそ。とにかく悪く言われがちな日本軍の成功エピソードを敢えて見ることで、なぜそういった体験が継承されなかったのか、どのようにすればよかったのかといった解決策も見えてきます。「日本すごい」と威張るのでも「日本はダメだ」と卑屈になるのでもなく、過去を受けとめて次に生かすことに意義があるのだと、思い知らせてくれる一冊です。