本書の内容
「命が惜しかったら地下鉄へ入れ」火の海の大阪を駆け抜けた奇跡の電車!
「1945年3月14日の大阪大空襲の夜、地下鉄で多くの命を救った救援電車があった」という噂は単なる空襲伝説か? 歴史に埋もれた「謎の救援電車」の解明に、1997年、2人の男が挑んだ。大空襲の夜、激しい焼夷弾爆撃を受け、大阪市街は火の海となる。このときの地下鉄の資料は残っておらず、運転士や駅員の行方もわからない。いつ、どの区間を走ったのか。そもそも大空襲下に電車を走らせることが可能なのか。当時の関係者を探しつつ、新聞紙上で体験談を募ると、続々と証言が集まった。「上は火の御堂筋、地下には電気がついていた」「心斎橋から梅田に乗った。地上の地獄がウソのよう」「猛火の中を逃げ回って本町から難波まで乗った」バラバラの証言をパズルのごとく組み合わせ、見えてきた救援電車の全貌。救援電車は1本だけではなかった。そして運転士は10代の子どもなのか――。
ミステリーのような謎解きスタイルで読む戦災秘話! 救援電車のエピソードはNHKの朝ドラ「ごちそうさん」でも取り上げられ話題となったが、その詳細が本として刊行されるのは本書が初めて。
目 次
序 章 大空襲の夜、地下鉄が走った
第1章 歴史に埋もれた「謎の救援電車」
第2章 あの日、何があったのか――証言が語る大空襲下の希望の光
第3章 命を運んだ電車は3本あった――見えてきた救援電車の全貌
第4章 戦時地下鉄、ベールの向こう側
第5章 戦争に翻弄された少年少女たち
著者プロフィール
坂夏樹
(さか・なつき)
1961年、大阪府に生まれる。大阪、京都、兵庫、愛知、山陰などでの勤務経験がある全国紙の元記者。大阪では、行政や選挙をメインに取材、京都では、警察、司法、行政などを主に担当した。一方で、バブル経済期の闇社会の実態に迫る特命取材にたずさわったほか、平和問題や戦争体験、人権問題を取材テーマにした。著書には『千二百年の古都 闇の金脈人脈』(さくら舎)がある。
担当より一言
猛火に追われ、御堂筋を逃げ惑った人々の迫真の体験談が胸に迫る。やっとの思いで逃げ込んだ地下鉄構内に現れた電車は、本当に希望の光だったと思います。「事実は小説より奇なり」の驚きとともに、平和に想いを馳せる一冊です。