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社会・政治

女子少年院の少女たち

「普通」に生きることがわからなかった

中村すえこ:著

4刷

定 価:1,400円+税

発売日:2020年11月5日

頁 数:232ページ

判 型:四六判/並製

ISBN:978-4-86581-269-5

本書の内容

「助けてほしい」が届かない!

少女はなぜ女子少年院に入ったのか――。自身も少年院経験者である著者が、覚醒剤、虞犯、窃盗、恐喝で収容された女子少年院の4人の少女に取材し、犯罪に至る背景や出院後の人生に迫る。複雑な生い立ちや家庭環境など少女たちが語る赤裸々な言葉が胸を打つ。

親に捨てられ児童養護施設で育ち、頼れる大人もないまま社会に出て覚醒剤使用で逮捕された佳奈。裕福な家庭に育ちながら何かが足りずパパ活で稼ぎ、ホストに600万円もつぎ込んだ美和。母親と一緒に薬物乱用となり、母のために食べ物を盗んで捕まり母に利用されていたのでは、と気づく沙羅。親の再婚でできた新しい家族から拒絶され、帰る家がなくなり美人局・恐喝に加担した遥香――。

「普通」はそんなことはしない、と自己責任の一言で切り捨てられがちな現代だが、世の人が当たり前に思う「普通」の養育を受けていない子どもがいる。生きるために犯罪を選ぶしかなかった子どもがいる。少年院は刑罰ではなく、そうした子どもに衣食住を与える学びの場だ。だが社会に出てからも、周囲の偏見や厳しい対応に、更生に挫折するケースも多い。厳しい現状はあるが、それでも周囲の理解で「自分はひとりじゃない」と感じられれば「人は変われる」。

目 次

序 章   被害者だった少女たち
第1章   親に捨てられひとりで生きてきた――佳奈・18歳 
第2章   保護から締め出された――その後の佳奈1
第3章 何かが満たされなかった――美和・18歳
第4章 母親に利用されていた――沙羅・19歳
第5章 家族から拒絶された――遥香・17歳
第6章 人は変われる――その後の佳奈2
終 章 やり直すことができる社会へ

著者プロフィール

中村すえこ

(なかむら・すえこ)
1975年、埼玉県に生まれる。15歳でレディース(暴走族)「紫優嬢」の4代目総長となり、多くのメディアに取り上げられるが、抗争による傷害事件で逮捕され女子少年院に入る。17歳で仮退院後、レディースを破門となって生き方を見失い、覚醒剤に手を出し再逮捕。だが、信じてくれる大人の存在や母の愛に気づいたことで新たな道を歩みはじめる。2度の結婚、離婚を経て4人の子を持つ母となる。2008年、自伝『紫の青春~恋と喧嘩と特攻服』(ミリオン出版刊)を上梓。2009年、少年院出院者自助グループ「セカンドチャンス!」を仲間とともに立ち上げる。少年院での講話活動をつづけ、2015年に全国の女子少年院訪問を達成。少年院の少女たちの話を伝えて社会を変えたいと2019年、ドキュメンタリー映画『記憶』を製作し初監督をつとめた。2020年、最終学歴中学校から通信制大学を卒業し、44歳で高校教員免許を取得。現在も『記憶』上映会での講演や全国の少年院講話をつづけている。

担当より一言

世の中にはいろいろな境遇の人がいて、そこにはさまざまな事情がある、という当たり前のことに気づかされます。もう一歩、寄り添える社会になるために、自分に何ができるかを考えさせられる、ストレートな強さに満ちた本です。