本書の内容
孤独をもたらす耳の不自由に対処する方法!
高齢者の健康問題でいちばん多いのは耳の不調・難聴です。70代では約7割の方々が耳に問題を抱えています。実は見えないことより聞こえないことのほうがつらいもの。何度も聞き返すもどかしさ、聞き違い・聞き落としのために生じるトラブル、周囲の会話がわからないのにわかったふりをしてうなずくむなしさ。そんなつらさを理解してもらえない絶望感……。耳の不自由は圧倒的に孤独なのです。
耳鳴りもまたつらく、ひどい人だと「頭の中で蝉が1000匹鳴いている」と表現するほど。本書はこうした難聴・耳鳴りのメカニズムと補聴器のリハビリ治療法などを解説するとともに、その苦しみをどう乗り越えるかという心理的なケアも語っています。
心と体の両方をケアするのは「心療耳鼻咽喉科」といい、著者は心療耳科外来を担当しています。誰もがなんらかの難聴遺伝子を持っており、加齢とともに聞こえが悪くなるのは避けられません。誰もがいずれ難聴になっていくのです。老いと闘うアンチエイジングから、老いを受け入れて共存していくウィズエイジングへ――耳の不調を上手に乗り越える方法を語ります。
目 次
第1章 耳の不調・難聴とはどういうものか
第2章 補聴器で難聴のリハビリ治療をする
第3章 気をつけたい難聴を引き起こす病気と生活
第4章 つらい耳鳴りを軽くする療法
第5章 聞こえない苦しみを乗り越えるヒント
第6章 超高齢社会を難聴とともに生きる
著者プロフィール
杉浦彩子
(すぎうら・さいこ)
1973年、愛知県に生まれる。医学博士。1998年、名古屋大学医学部卒業。同大学大学院で聴覚を中心に臨床・研究に携わる。豊田浄水こころのクリニック副院長。国立長寿医療研究センター非常勤医師。加齢性難聴、耳鳴り、めまい、補聴器適合など高齢者の聴覚を主な研究テーマとし、クリニックでは心療耳科外来として、ストレスが関連する耳の不調全般を診療している。著書には『驚異の小器官 耳の科学』(講談社ブルーバックス)がある。
担当より一言
難聴や耳鳴りなど耳の不調がはじまると、聞こえないつらさやもどかしさを感じるようになります。「絶対治す」と対立するのではなく、ストレスを受け流し上手に共存していく。そのための手がかりが詰まった一冊です。