本書の内容
聞きとれないのはもしかしてAPD?
「雑音の中では話が聞きとれない」「口頭でいわれたことは、忘れてしまったり理解しにくい」「会議で複数の人が同時に発言すると、だれの話も理解できない」――このように「音は聞こえているのに聞きとれない」という症状を「APD(聴覚情報処理障害)」といい、いま注目されています。聴力に問題はなく、耳から入ってきた音声情報を脳で処理してことばとして理解する際に障害が生じている状態です。音は「耳」ではなく「脳」で聞いているからです。
APDはこれまでほとんど知られていませんでしたが、著者は20年以上前から研究に取り組む第一人者。APDの原因は4つのタイプ(①脳損傷タイプ、②発達障害タイプ、③認知的な偏りタイプ、④心理的な問題タイプ)に分かれることがわかってきました。
APDは大人にも子供にもありますが、仕事をはじめてから「聞きとりにくさ」に気づく人がとても多いのが特徴です。APDを特性や個性のひとつとしてとらえ、それとうまくつきあう方法を考えるためにも、まずはAPDについて知り、正しく理解することが大切です。APDのしくみをわかりやすく解説し、具体的な症例、対処方法などを盛り込んだ、APD第一人者による決定版! オリジナルのセルフチェック付き!
目 次
序 章 「音は聞こえるのに、ことばとして聞きとれない」APD
第1章 「聞こえる」しくみ――難聴とAPDの違い
第2章 「聞きとれる」しくみ――注意と記憶がカギ
第3章 なぜ「聞きとれない」のか――APDの4タイプ
第4章 「聞きとりづらい」と思ったら――検査とライフハック
第5章 子どものAPDへの対処法
著者プロフィール
小渕千絵
(おぶち・ちえ)
1974年、東京に生まれる。立教大学文学部心理学科卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科、筑波大学大学院心身障害学研究科修了、博士(心身障害学)取得。川口市立医療センターリハビリテーション科、埼玉医科大学病院小児科などで言語聴覚士として勤務ののち、国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科准教授を経て、2020年、同大学成田保健医療学部言語聴覚学科教授。あわせて国際医療福祉大学クリニック言語聴覚センターなどで聞こえにくさの相談・指導などを担当している。APD(聴覚情報処理障害)の研究に20年以上にわたり取り組む第一人者である。
担当より一言
「聞こえているのに聞きとれない」ことに気づくのは20~30代の方が多いそうです。仕事でもプライベートでも、「聞きとれない」のに原因がわからないのはつらいもの。本書がつらさ軽減の第一歩につながりますように!