本書の内容
存続する組織の条件を歴史的に明示!
日本社会の痛烈な御意見番・山本七平が一般向けに行った講演三本に、「文藝春秋」に掲載された名日本論「切腹と石油」を収録。なぜローマは末期的症状でも千年生き延びたのか、一方でトルコは中東一帯を占拠した膨張期があったにもかかわらず五百年足らずで瓦解したのかを端緒に、日本型組織の問題を解明する。いま会社も国家も、輸入した組織と日本の伝統的社会構造がうまく働かなくなってきているのではないか? その打開法は? また「日本は世界でいちばん忠誠心がない民族」「日本は法治ではなく礼治、敬語治」「私有という概念がいちばん強い日本人」「日本のリーダーは世話人」などなど、日本の内面が映し出される。初の単行本化!
目 次
第一章 日本の存亡、持続か瓦解か
第二章 日本型リーダーの限界
第三章 日本の「当たり前」文化の構造
第四章 切腹と石油――日本の潜在力
著者プロフィール
山本七平
1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。以後、「日本人論」で社会に大きな影響を与えてきた。その日本文化と社会を分析する独自の論考は「山本学」と称される。評論家。山本書店店主。1991年、逝去。
著書には『「空気」の研究』『私の中の日本軍』(以上、文藝春秋)、『日本はなぜ敗れるのか』(KADOKAWA)、『帝王学』(日本経済新聞出版)、『論語の読み方』(祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』『精神と世間と虚偽』『戦争責任は何処に誰にあるか』『池田大作と日本人の宗教心』『渋沢栄一 日本の経営哲学を確立した男』『新聞の運命』(以上、さくら舎)などがある。
担当より一言
ほとばしる「七平節」! 一出版人として、中小企業の経営者として、一般向けの講演は、日本の、世界の歴史を縦横無尽に引き出しながら、日本型組織の問題点をグサリとついて、国家的危機にある現状をも照らします。