
本書の内容
治療をしてもしなくても、人の寿命に大差はないのです!
- 年をとるほど健康への関心は高くなる。国はメタボ健診やがん検診などを推進し、「早期発見・早期治療」のメリットをうたうが、本当にそうだろうか。
EBM(エビデンスに基づく医療)の第一人者である著者は、「65歳を過ぎた人に定期検診は必要ない。むしろ受けると不幸になる」と断言する。健診・検診が有効かどうか、じつはよくわかっていない。早期発見しないほうがいいがんを見つけてしまうと、必要ない治療を受けるというデメリットがある。また、薬もやめたほうがいい。高齢者には薬のわずかな治療効果より副作用というリスクのほうが大きいからだ。
若い現役世代と定年後世代では、医療のあり方が違ってくるのである。健康を気にして「血圧を下げないと」とあくせくがんばるより、年をとったら無用な検診・薬はやめたほうが幸せになれる!
目 次
第1章 | 健康を追求しすぎると不健康になる |
第2章 | じつはあいまいな検査のウラ側 |
第3章 | デメリットの多い「健診・検診」 |
第4章 | 薬を飲まなくてもたいして変わらない |
第5章 | 医療に「絶対」はない |
第6章 | 超高齢社会を生きる知恵 |
著者プロフィール
名郷直樹
(なごう・なおき)
1961年、愛知県に生まれる。自治医科大学卒業。愛知県作手村(現・新城市作手)国民健康保険診療所に12年間勤務。2003年より公益社団法人地域医療振興協会で僻地医療専門医の育成にたずさわる。同法人の地域医療研修センターおよび東京北社会保険病院臨床研修センターのセンター長をへて、2011年、東京・国分寺市に武蔵国分寺公園クリニックを開院、同院長。地域家庭診療センター長として、あらゆる健康問題に対処するプライマリ・ケアに従事。また、20年以上にわたりEBM(エビデンスに基づく医療)を実践するEBMの第一人者。専門は地域医療、臨床疫学、医学教育。
著書には『EBM実践ワークブック』(南江堂)、『「人は死ぬ」それでも医師にできること』(医学書院)、『治療をためらうあなたは案外正しい』(日経BP社)、『「健康第一」は間違っている』(筑摩選書)などがある。
担当より一言
まさに「健康帝国」のような日本ですが、「検診・医療を受けなくてもいい」という選択肢が自分にもあると思うと、「老後破産」だの「長寿リスク」だのという言葉が怖くなくなります。