本書の内容
日本人はなぜ「空気」に水を差せないのか!
- 「空気の研究」は山本七平を代表するもののひとつですが、本書ではその思想史を深め、さらに憲法をめぐる論議が盛んな現状に一石を投じます。そして、自ら戦場へ行ったものの視点からも戦争責任を問うています。本書で展開される内容は、「昭和前期、軍部はひきこもり、議会が権限をもっていたが、昭和12年以降、主導権を握ったのは軍部だった。なぜ議会は力を失い、軍部は日本を支配できたのか?」「戦争責任の一端は、戦費を支出したものにあるとは言えないか?」「天皇の頑固なまでの、憲法絶対はどこから?」などなど。これからの日本を展望する上でも、示唆に富んでいます。
目 次
第一章 | 誰が軍部の支配と戦争を許したか |
第二章 | 昭和天皇はなぜ自ら「立憲君主」と規定したか |
第三章 | 日本人はなぜ「空気」に水を差せないか |
第四章 | 昭和天皇はなぜ「憲法絶対」にこだわったか |
第五章 | 天皇なき天皇制思想がなぜ横行したか |
第六章 | 正統と理想が問われた大改革から何がわかるか |
第七章 | 日本人の法意識から何が見えるか |
著者プロフィール
山本七平
(やまもと・しちへい)
1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。以後、「日本人論」で社会に大きな影響を与えてきた。その日本文化と社会を分析する独自の論考は「山本学」と称される。評論家。山本書店店主。1991年、逝去。
著書には『私の中の日本軍』『「空気」の研究』(以上、文藝春秋)、『日本はなぜ敗れるのか』(角川書店)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『日本人とは何か。』『昭和天皇の研究』(以上、祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本教は日本を救えるか』『「知恵」の発見』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』『精神と世間と虚偽』(以上、さくら舎)などがある。
担当より一言
戦前のあの時代の「空気」を知る著者だからこそ、伝えておかなければならないことが溢れ出ます。昭和天皇へのフォーカスが見事だと感じました。