本書の内容
なぜ、あり得ない失敗が続出するのか!?
- 円安はM&Aのチャンスである。グローバル化を急ぐ日本企業にとって、海外企業のM&Aは、成長するための時間を短縮、新興国など新市場の獲得、強みの合体によるシナジー(相乗効果)などの効果から、理想的な経営戦略であり、急増している。だが、実際はどうか。案件の資産調査(デューデリジェンス)不足による高値づかみ、想定外の劣悪案件、うまくいかない経営統合、マネジメント人材不足による経営の丸投げ、利益を圧迫する巨額買収費や「のれん」代の処理……、さまざまな落とし穴に足をすくわれる企業が多く、むしろ成功ケースは稀だ。本書は日本の大企業9社の大型M&Aの大失敗例をひもとき、その原因を経営戦略、人物の両面から描き出す。ビジネスの現場のリアルで生々しい失敗像が浮かび上がる。
目 次
第1章 | 武田薬品工業――グローバル化を急ぐ落とし穴 |
第2章 | ブリヂストン――権限委譲が招いた蹉跌 |
第3章 | ソニー――買収事業のマネジメントを丸投げ |
第4章 | 三菱地所――日本流の投資判断は通用せず |
第5章 | 松下電器産業――戦略なき財テク買収の末路 |
第6章 | 日本たばこ産業――海外巨額M&Aの代償 |
第7章 | 日本板硝子――グローバル経営の人材・力量不足 |
第8章 | 第一三共――〝ババ〟をつかまされた調査能力の欠如 |
第9章 | M&Aで売上高達成の目論見ならず |
著者プロフィール
有森隆
(ありもり・たかし)
経済ジャーナリスト。1969年早稲田大学文学部卒業。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書には『日銀エリートの「挫折と転落」-木村剛「天、我に味方せず」』』(講談社)、『経営者を格付けする』(草思社)、『経済情報の裏読み 先読み』『世襲企業の興亡』『非情な社長が「儲ける」会社をつくる』(以上、さくら舎)、『リーダーズ・イン・ジャパン』(実業之日本社)、『実録アングラマネー』(講談社+α新書)、『日本企業モラルハザード史』(文春新書)、『創業家物語』(講談社+α文庫)、『強欲起業家』(静山社文庫)、『異端の社長の流儀』(だいわ文庫)などがある。
担当より一言
2015年1~3月の日本企業のM&A総額は4兆円。ハイペースで増加しているM&Aですが、実務書からは見えてこない真の教訓がここにあります。