本書の内容
「聴く」ことから「思考する力」を伸ばそう!
- 「聴く」と「聞く」――。「聴く」は注意深く聴くことで、単なる聞こえることとは違う。日本人は講演会でもつい居眠りしてしまう人が多く、大事なことを聴いて頭に入れる力が弱っている、と著者はいう。思考の流れについていくのが下手な人が多い日本は、「耳バカ社会」なのだ。近代文化は、「耳」より「目」の力=文字を重視して発展してきた。文字や文章など「読む書く」重視の偏向教育が拍車をかけて、「聴く」の大切さは忘れられてしまったかのようだ。本来、知性とは「聴く」「話す」「読む」「書く」の4つがすべて揃って養われる。人の話を聴いてものごとを考える、すなわち「聴く」ことによって「思考力」を伸ばそう。東大、京大、早大の大学生協でベストセラーとなっている『思考の整理学』の著者が明かす「思考力」の実践!
目 次
Ⅰ | 「聴く」が聡明のはじまり |
講演は聴くべきもの | |
耳バカ社会 | |
ノートはとらない | |
外山と富山 | |
Ⅱ | 思考を深める「聴く話す」 |
「読む書く」の前に「聴く話す」 耳を育てる |
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のんびり屋の耳の訓練 | |
文字信仰へのとらわれ | |
Ⅲ | 「読む書く」重視の落とし穴 |
音読と黙読 | |
ギリシャ型と中国型 | |
推薦入試の盲点 | |
書かれたものにはウソがある | |
Ⅳ | 日本語の大問題 |
ことばの距離感覚 | |
向き合いたくない | |
「象は鼻が長い」という大問題 | |
命令形はきらい | |
Ⅴ | 知となる「聴く話す」 |
ことばの西高東低 | |
思考を生むもの | |
亭主元気で留守がいい | |
思考力の源 |
著者プロフィール
外山滋比古
(とやま・しげひこ)- 1923年、愛知県に生まれる。英文学者、評論家、エッセイスト。お茶の水女子大学名誉教授、文学博士。東京文理科大学英文科卒業後、雑誌「英語青年」編集、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授を歴任。専門の英文学をはじめ、言語論、教育論など広範囲にわたり独創的な仕事を続ける。著書にはミリオンセラーとなった『思考の整理学』(ちくま文庫)をはじめ、『「マイナス」のプラス-反常識の人生論』(講談社)、『「人生二毛作」のすすめ』(飛鳥新社)、『失敗の効用』(みすず書房)、『思考力』(さくら舎)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)、『老いの整理学』(扶桑社新書)、『外山滋比古著作集』(全8巻、みすず書房)などがある。
担当より一言
たしかにテレビのインタビューなどを見ていても、気がつくとしゃべる声より画面に現れるテロップを読んでしまっています。20代のころ、外国の知人から「日本人は開会式などのセレモニーで挨拶を聴いていられず、みんな寝てしまうのはなぜ? 退屈な話だったとしても、私たちは起きていられるけど」と言われて恥ずかしかったことを思い出しました。「聴く力」を鍛えないと!!