本書の内容
悩みや迷いと真正面から向きあえるか!? 死を正視できるか!?
-
33年間、精神科医をやったあと、聖路加国際病院の精神腫瘍科で「がん患者と家族のための精神科」の臨床をしている著者が、いま医療現場で直面していることから、改めて生き方、死に方を問い直す。
緩和ケア病棟で死と背中合わせの患者さんを診察するたびに「死を正視できない自分」がいた。そこで著者が出会ったのが「空海」。医師を続けながら高野山大学大学院で空海密教を学んだことで、新たな死生観を得る。
本書は、われわれ現代人の迷いや悩みに、空海の教えがいかに応えてくれるかを、精神科医が臨床に根ざして語る。
目 次
第一章 よく生き、よく死ぬ
私の心にずっと残っていること 最後をどう生きたいか・・・ |
第二章 へたな育み、豊かな育み
運命の空海 貴物として育まれる・・・ |
第三章 とどまる自分、はばたく自分
低すぎる自分像 モラトリアム期の過ごし方・・・ |
第四章 共感する言葉、反発する言葉
バーチャルの達人はナマものが苦手 決別のあとに開ける生き方・・・ |
第五章 死の力、生の力
空海が死を意識したとき 職場うつから身を守る・・・ |
第六章 自分を深める、人生を極める
待ち伏せするストレス、病気 最後の大仕事に取り組む・・・ |
著者プロフィール
保坂隆
(ほさか・たかし)
1952年、山梨県に生まれる。聖路加国際病院精神腫瘍科部長、聖路加看護大学臨床教授。1977年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科に入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学ロスアンゼルス校精神科へ留学。1993年に東海大学医学部講師、2003年より同大学医学部教授を経て、2010年より現職。
著書には『50歳からは「孤独力」!』(さくら舎)、『人生の整理術』『老いを愉しむ習慣術』(以上、朝日新書)、『打たれ強い人になる』(中公新書ラクレ)、『精神科医が教える心の疲れがたまったときに読む本』(だいわ文庫)などがある。
担当より一言
宗教家としてより、「人間」空海に出会った精神科医の興奮が手にとるように伝わってきます。運命の人が、よく生き、よく死ぬための道筋に光をあててくれます。