
本書の内容
日本の傑作機はこうして生まれた! 真実の航空機史を描く感動ヒストリー
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「零戦」を設計した堀越二郎の冷淡とも思える態度、「YS-11」を開発した東條輝雄の知られざる葛藤、「紫電改」をはじめ傑作機を次々に生んだ菊原静男の独創性、戦前戦後を通してジェットエンジン開発に賭けた土光敏夫の強烈な信念……。欧米と肩を並べる航空機大国を目指し、多くの男たちが全身全霊を捧げて航空機と、それに搭載されるジェットエンジンを開発してきた。航空ノンフィクションの第一人者が傑作航空機およびジェットエンジンの開発設計者および関係者にインタビュー。彼らの劇的な人生および名機誕生の軌跡が今、明かされる。
目 次
第1章 | 天才と呼ばれた「九六式艦上戦闘機」「零戦」の設計者 ……堀越二郎 |
第2章 | 航空機産業の復活に尽力した「YS-11」の開発リーダー ……東條輝雄 |
第3章 | 「飛燕」「屠龍」など二〇数機を開発したミスター・エンジニア ……土井武夫 |
第4章 | 業界の“三賢人”は「呑龍」の軽量化で新人から頭角を現す ……渋谷 巌 |
第5章 | 傑作機「彩雲」を設計、戦後「T—1」で音速の壁を初突破 ……内藤子生 |
第6章 | 「隼」「鍾馗」などの設計者から“ロケットの父”へ転身 ……糸川英夫 |
第7章 | 「九七式大艇」「紫電改」など、独創的な名機を次々開発 ……菊原静男 |
第8章 | 強い信念で戦中、戦後ジェットエンジンの開発に賭けた男 ……土光敏夫 |
第9章 | 終戦間際、日本初のジェットエンジン「ネ20」の開発に成功 ……永野 治 |
第10章 | 「YS―11」から「MRJ」まで三菱一連の民間機を開発 ……西岡 喬 |
第11章 | ゼロからスタートし米国で「ホンダジェット」を事業化 ……藤野道格 |
著者プロフィール
前間孝則
(まえま・たかのり)
ノンフィクション作家。1946年佐賀県生まれ。法政大学中退後、石川島播磨重工業の航空宇宙事業本部技術開発事業部でジェットエンジンの設計に20余年従事。1988年に同社退社後、日本の近・現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組む。特に航空機、鉄道に関する著作には評価が高い。現在はテレビのコメンテーターとしても活躍中。主な著書に『YS-11』『富嶽』『マン・マシンの昭和伝説』『戦艦大和誕生』(いずれも講談社)、『飛翔への挑戦』(新潮社)、『弾丸列車』(実業之日本社)、『日本のピアノ100年』『技術者たちの敗戦』『満州航空の全貌』(いずれも草思社)などがある。
担当より一言
映画『風立ちぬ』のヒットで「零戦」、そしてその設計者の堀越二郎にスポットが当てられています。しかし、「航空機王国」だった戦前の日本には、「飛燕」の土井武夫や「二式大艇」の菊原静男ら、彼に勝るとも劣らない設計者が腕を競っていました。三菱グループが総力を挙げて開発する「MRJ」、そしてホンダが航空機産業の本場、アメリカで事業化する「ホンダジェット」と、国産ジェット機が産声をあげ、次代を担う産業として航空機に注目が集まる今、ぜひ一読いただきたい一冊です。