本書の内容
やられたら10倍返しでやり返す逆襲弁護士!
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数々の大型経済事件を、誰も考えつかない戦術で逆転勝利に導いてきた弁護士、河合弘之。バブル華やかなりし頃、「金屏風」で世を騒がせた平和相互銀行乗っ取り事件では、創業一族の弁護人として奇策を考案。バブル不動産・秀和による忠実屋・いなげや株買い占め事件では秀和側に立ち、買い占め阻止を狙う相手側の作戦を粉砕。また、バブルの代名詞ともいえる商社イトマンの顧問弁護士として、イトマンの「究極の高利貸し」の手口を目の当たりにしている。仕手筋集団光進事件では、仕手戦で企業乗っ取りにいそしむ小谷光浩と組み、あの手この手で乗っ取りを成功させる。社長解任をめぐる株主総会での激しい応酬、謎の公認会計士との共闘など、法律という知を武器に闘う白熱の逆転劇を繰り広げた。そのほか、住友銀行、ダイエー中内功、バブル不動産の慶屋、野村證券なども登場。バブル大型経済事件の舞台裏の熱気、狂騒をつぶさに見聞きしてきた。世間的には悪党と呼ばれる依頼人であっても、違法でない限り全力を尽くす。やられたら10倍返しでやり返す逆襲弁護士、それが河合である。そして現在は、脱原発弁護団全国連絡会を率いて、東電全役員を訴える賠償訴訟を展開中。河合は原子力賠償法で手厚く守られた東電を会社法の株主代表訴訟という誰も考えなかった奇策で法廷に引きずり出した。賠償請求額は史上空前の5兆5045億円である。
目 次
第1章 | ヤメ検の野望を粉砕――平和相互銀行事件 |
ヤメ検〝カミソリ伊坂〟が食らいついた平和相銀 「はい、百二十七億円。いま返済しますよ」 平和相銀乗っ取りのための陰謀「金屏風事件」 大蔵省と住銀のタッグに塡められたのか 陰謀合併劇の命運を分けた一手 |
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第2章 | 失敗と成功のきわどい綱渡り――ダグラス・グラマン事件、リッカー再建、つぼ八事件 |
児玉誉士夫に利用された疑惑の「海部メモ」 国会証人喚問の厳しい追及をかわすテクニック 和議で正面突破をはかったリッカー倒産劇 無理押しはきかず、わずか一ヵ月で再建断念 「つぼ八」乗っ取りをたくらんだイトマン |
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第3章 | 知力と胆力の死闘――秀和vs忠実屋・いなげや事件 |
「刑事事件を起こすと死ぬんだよ」と嘯くバブル経営者 流通再編をもくろんだ秀和の株買い占め 証券市場のルールを変えた〝逆襲〟弁護 ダイエー・中内が糸を引いていた買収劇舞台裏 九九勝しつづけ、一敗ですべてを失った男 |
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第4章 | 金の亡者たちの本性――イトマン事件、福岡ドーム事件 |
バブル不動産屋・慶屋とイトマンが急接近 イトマン流「究極の高利貸し」のカラクリ 〝闇の紳士〟伊藤寿永光の参入 「弁護士の腕次第で事件の結果は変わる」 福岡ドーム贈収賄疑惑、中内の決断 |
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第5章 | 華麗なる大乱闘劇――光進の国際航業事件・蛇の目ミシン事件 |
国際航業を狙う仕手筋集団「光進」 「株主権行使禁止の仮処分」という想定外の先制攻撃 仮処分を無効にする奇想天外なアイディア 小谷側弁護士vs社長側弁護士、白熱の応酬 日本初の敵対的M&A、ついに成功す 国際航業買収の裏で進む蛇の目ミシン事件 |
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第6章 | 巨悪と闘う知略――東電株主代表訴訟 |
「脱原発弁護団全国連絡会」を組織し、弁護士を結集 東電役員の民事責任を奇策で追及、「逃げ切りは許さない」 史上最高の賠償請求額「五兆五〇四五億円」のカラクリ 億を超える税金を自分たちの弁護費用に使う東電 勝つまでやる「権力との闘い」 |
著者プロフィール
大下英治
(おおした・えいじ)
1944年、広島県に生まれる。広島大学文学部を卒業。「週刊文春」記者をへて、作家として政財官界から芸能、犯罪まで幅広いジャンルで旺盛な創作活動をつづけている。
著書には『十三人のユダ 三越・男たちの野望と崩壊』(新潮文庫)、『実録 田中角栄と鉄の軍団』(全3巻、講談社+α文庫)、『昭和闇の支配者』(全6巻、だいわ文庫)、『昭和政権暗闘史』(静山社文庫)、『トップ屋魂』(イースト・プレス)、『田中角栄秘録』(イースト新書)、『官僚(飯島勲との共著)』『脱原発(河合弘之との共著)』(以上、青志社)などがある。
担当より一言
とにかく面白い! 窮地に追い込まれたところから、河合弁護士が繰り出す奇想天外なアイディアの数々。知の格闘技ともいうべき駆け引きが痛快です!