本書の内容
65歳定年制では日本は衰退する!
- 少子化・超高齢化による労働人口の減少で、日本経済は縮小していく。このままでは成長はおろか縮小均衡すらもできない。日本経済を再生・成長させるには、労働人口を減らさないことが肝要である。そのために実現可能な政策が「40歳定年制」。
スキル再構築のサポートを充実させて、40歳定年、60歳定年、75歳定年で人生三毛作の働き方を提唱するものだ。
これにより、女性や若者の雇用が増え、社内失業者や中高年の転職・再就職ももっと容易になり、労働人口を維持・拡大することができる。働き手が増えれば年金など社会保障費の抑制にもつながり、雇用の流動化で日本経済の活性化が図れる。
すべての年代の人が、もっと長く、いきいきと働くための処方箋、それが「40歳定年制」である。
目 次
第1章 | 新しい日本の形をつくる |
人口減少・少子高齢化で縮小する日本 「40歳定年制」はより長く働くための制度 “65歳定年制”の問題点 企業頼みの社会保障には限界がある 日本社会の既存メカニズムは限界 |
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第2章 | 日本を活気づける「40歳定年制」 |
20代のスキルで一生食える時代は終わった 1クール20年の〝人生三毛作〟制度 転職を当たり前の行動にする 「スキル再構築」はセーフティネット 「正規=フルタイムの無期雇用」の概念を変える |
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第3章 | 日本型雇用の終焉と再構築 |
社内失業者を生んだ日本型雇用 「見えない雇用調整」が広がる 解雇規制からの発想の転換が必要 働き方のパターンを増やす 雇用問題と真剣に向き合うときがきた |
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第4章 | 何度でも働ける社会へ |
窮屈すぎる日本社会 多様な生き方、多様な働き方 大学・大学院は人生の方向転換の場所 「60歳でのスキル再構築」は十分可能 働き方を変えれば日本が変わる |
著者プロフィール
柳川範之
(やながわ・のりゆき)
1963年に生まれる。父の仕事の関係でシンガポールで小学校を卒業。高校時代をブラジルで過ごしたのち、大学入学資格検定試験合格。慶應義塾大学経済学部通信教育課程卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学大学院経済学研究科教授。経済学博士(東京大学)。
専門は制度の経済学。2050年に向けた政府の長期ビジョン『フロンティア構想』の報告書(2012年)に盛り込まれた「40歳定年制」の発案者。
著書には『法と企業行動の経済分析』(日本経済新聞社、日経・経済図書文化賞受賞)、『独学という道もある』(ちくまプリマー新書)、『元気と勇気が湧いてくる経済の考え方』(日本経済新聞出版社)などがある。
担当より一言
長時間労働なのに低い生産性、増える一方の非正規雇用、女性が働きやすくない勤務体系、次々と報じられるリストラ解雇……。人口減少時代への提言である「40歳定年制」は、どん詰まり感のある日本経済の現状に風穴をあけるものでもあります。これから先の働き方や生き方を考えるきっかけになれば幸いです。