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社会・政治

日本教は日本を救えるか

ユダヤ教・キリスト教と日本人の精神構造

イザヤ・ベンダサン:著
山本七平:訳編

定 価:1,400円+税

発売日:2013年1月9日

頁 数:192ページ

判 型:四六判/並製

ISBN:978-4-906732-27-2

本書の内容

「ちんぷんかん」からの脱皮! 待合社会に決別!

  • 日本人論に強烈なインパクトを与え、名著として輝きつづける『日本人とユダヤ人』。その著者が、さらに日本人を日本人たらしめている「日本教」という、日本独自の精神構造を、ユダヤ教、キリスト教との比較を試みながら明らかにする。はたして日本教徒とはどのようなものか。たとえば、一茶の「盥(たらい)から盥に移るちんぷんかん」――この生まれてから死ぬまでの人の一生を「ちんぷんかん」だとする日本人が日本教徒だという。また、日本人の意識の中に明治天皇の墓はない、日本教の創世記は貝原益軒の『大和俗訓』である、日本全体が待合である、日本人の考え方は「教育勅語」から一歩も出ていない……などなど、卓越した視点から日本人の精神構造をリアルに描きだす。

目 次

第一章 日本人の「墓」と「霊」
  産湯で始まり湯灌で終わる日本人 日本には「霊」という大きな力がある……
第二章 自由とは借金だ
  ユダヤ人の「貸借」という考え方 自殺は詐欺であり、借金の踏み倒し……
第三章 日本教の師と日本教徒
  日本人の考え方の結晶 「人の世」を「人」がつくった、という思想が陥るわな……
第四章 日本教と「空間」意識
  旧約聖書、タルムードと『方丈記』 言葉の献酬とお酒の献酬……
第五章 日本人の限定的普遍主義
  「家」に根ざした世界観 道徳律と天皇の関係 日本の問題点が露呈……

著者プロフィール

イザヤ・ベンダサン

山本七平

(やまもと・しちへい)
1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。1956年、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサンの『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。以後、「日本人論」で社会に大きな影響を与えてきた。その日本文化と社会を分析する独自の論考は「山本学」と称される。評論家。山本書店店主。1991年、逝去。
著書には『私の中の日本軍』『「空気」の研究』(以上、文藝春秋)、『日本はなぜ敗れるのか』(角川書店)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『日本人とは何か。』『昭和天皇の研究』(以上、祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』(以上、さくら舎)などがある。

担当より一言

本文に「人間は、この宇宙の中で、自分がどういう位置にあるかを自ら規定したときに、はじめて人間になる。動物にはそれができない。そして、この規定が始まったときに『歴史』が始まるわけである」という一文があります。「ちんぷんかん」の一人かもしれませんが、この言葉を刻みこんで、自分の立ち位置を確認したいと思います。