本書の内容
時代をリードした世襲企業の栄光と転落!
- 大王製紙、武富士、スズキ、ヤマハ、ワコール、林原、セイコー
一時代を築いた世襲企業は、なぜ成功を手放したのか。
世襲はなぜドロドロした継承になるのか!?
- 世襲&同族企業は別名、ファミリー企業と呼ばれる。
日本は中小企業が多いから、95%がファミリー企業だ。また、業歴100年を超えるファミリー企業は3万社と推測されている。
米国では800社、欧州は全体で6000社といわれている。
日本のファミリー企業は、なぜ長寿を保ってこられたのか。
世襲で失敗した企業は、何を間違えたのか。
カリスマ経営、息子への盲目的な愛情、経営陣の派閥抗争、骨肉の争い――絶頂を迎えた会社がつい陥る危険な罠。
カネと欲望の方程式!!
目 次
1 大王製紙〔井川家〕――二代目〝中興の祖〟の独裁 |
|
専制君主の父、お飾り社長の御曹司 | |
井川一族が完全支配する〝大王製紙王国〟 |
|
創業家が子会社を〝実効支配〟する構造 |
2 武富士〔武井家〕――サラ金トップ企業の誕生と破滅 |
|
「サラ金の帝王」による史上最大の脱税工作 |
|
右翼とヤクザを使ってトラブル処理 |
|
過払い金請求から一族のカネを守るための倒産 |
3 スズキ〔鈴木家〕――婿養子経営の大成功と誤算 |
|
二代、三代、四代とつづく伝統の婿養子経営 |
|
スズキを飛躍させたインドの大成功 |
|
後継不在、VW交渉難航、本業不振の三重苦 |
4 ワコールホールディングス〔塚本家〕――初代に潰された二代目 |
|
カネとクスリのスキャンダルにまみれた子会社ピーチ・ジョン |
|
「ノーブラ運動」の激震を乗り越え、破竹の快進撃 |
|
ボンボンが手玉にとられただけ、大失敗のM&A |
5 ヤマハ〔川上家〕――非オーナー経営者三代の悲劇 |
|
社長になりたくなかった御曹司のハプニング辞任 |
|
暴虐人事で死屍累々、後継者キラーの〝圧政〟 |
|
ヤマハを追われた川上一族の行く末 |
6 林原〔林原家〕――超優良企業の隠された虚飾 |
|
現実とオカルトの両方を生きる奇人変人の四代目 |
|
〝夢の糖〟トレハロースの大成功でバイオ企業に変貌 |
|
27年にわたる粉飾決算が明らかに |
7 セイコーホールディングス〔服部家〕――華麗なる一族の骨肉の争い |
|
高級宝飾店「和光」の闇 |
|
頭痛の種の総裁をクーデターで追放したみずほCB |
|
資本と経営の分離が脱・〝服部商店〟のカギ |
著者プロフィール
有森隆
(ありもり・たかし)
経済ジャーナリスト。1969年早稲田大学文学部卒業。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。
著書には『日銀エリートの「挫折と転落」-木村剛「天、我に味方せず」』『オリックス「大風呂敷経営」の奈落』(以上、講談社)、『経営者を格付けする』『社長力』(以上、草思社)、『実録アングラマネー』(講談社+α新書)、『日本企業モラルハザード史』(文春新書)、『創業家物語』『銀行消滅(上・下)』(以上、講談社+α文庫)、『強欲起業家』『デフレ経営者』(以上、静山社文庫)、『経済情報の裏読み 先読み』(さくら舎)などがある。
担当より一言
世襲・同族経営にはマイナスのイメージが強いですが、長期にわたって強いリーダーシップを発揮できるなどのメリットもあります。
本書に出てくる7社はいずれも成功し、一時代を画した企業。成功をどのように引き継ぐのが正解だったのか、企業統治のあり方を考える一冊です。