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社会・政治

なぜ日本は変われないのか

日本型民主主義の構造

山本七平:著

3刷

定 価:1,400円+税

発売日:2011年12月7日

頁 数:224ページ

判 型:四六判/並製

ISBN:978-4-906732-00-5

本書の内容

山本七平の日本を見る目・思考は不滅です。

  • われわれはいとも簡単に「民主主義」と「全体主義」、「民主制」と「独裁制」といった分類をするが、それには何か根拠があるのか、またそういう分類は成り立つのか。
  • なぜ「天皇機関説問題」を取りあげるのか。この問題は、単なる言論弾圧事件とはいえない。その背後にあったものは何か。これは、第二次大戦直後の「民主化」時代と一脈通ずるものがある。歴史に終着駅はない。
  • 日本では総政治化と非政治化が13〜15年周期で繰り返されてきた。たとえば、日本人は、明治維新で前の歴史を消し、戦後に戦前の歴史教科書を抹殺してしまった。13~15年周期で変革の動きが起きても、なぜ頓挫してしまうのか。
  • 日本には「個」の組織化である「民主主義」の基礎であるべき組織(システム)という概念がない。組織は常に目的をもつ。一方家族は自らの崩壊を防ぐことが第一の目的である。組織的家族集団の日本は社会変革にどう対処していけばいいのか。

目 次

第一章 「民主的」か「非民主的」かを超えて
(1)   正統か異端かを超えて
(2)   官憲主義と全体主義
(3)   歴史の中の共通パターン
(4)   日本に西欧型ファシズム時代はなかった
(5)  「暗黙の了解」崩壊の不安
第二章 「天皇機関説排撃運動」に見る歴史の繰り返し
(1)   言論弾圧事件ではなかった
(2)   背後にあったものは何か
(3)  「教育勅語」という強い根
第三章 十五年周期で循環する日本人の政治意識
(1)   なぜ日本には「終戦祭り」がないのか
(2)  「歴史的現在」感覚の欠如
(3)   終戦と安保の共通現象
第四章 変革なき組織的家族社会の深層
(1)   西欧的正当化と日本的調和
(2)  「自由」と「組織」の欠落
(3)   変革への模索

著者プロフィール

山本七平

(やまもと・しちへい)
1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。
1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。以後、「日本人論」で社会に大きな影響を与えてきた。その日本文化と社会を分析する独自の論考は「山本学」と称される。評論家。山本書店店主。1991年、逝去。
著書には『私の中の日本軍』『「空気」の研究』(以上、文藝春秋)、『日本はなぜ敗れるのか』(角川書店)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『日本人とは何か』『昭和天皇の研究』(以上、祥伝社)など、いずれもベストセラーになっている。

担当より一言

民主党政権が迷走をきわめる、このタイミングで!の出版になりました。『日本人とユダヤ人』で「日本人は生き残れるのか?」を徹底考察した目は、ここでも日本・日本人の行き方(生き方)に肉迫しています。歴史が語らずにいられない声を聞きとってください。