ねこもかぞく
著者紹介(解説):堀本裕樹 著者紹介(マンガ):ねこまき

今日の俳句

第58回

子雀を拾ひてよりのあにいもと

(こすずめをひろいてよりのあにいもうと)

乙部恭子

「子雀」が春の季語で、
「雀の子そこのけそこのけ御馬(おうま)が通る」という小林一茶の句が、
この季語を使った作品では広く世に知られたものといえるだろう。

一茶の句と今回採り上げた句を比べてみると、
一茶の雀の子のほうが大きく育っていることに気づく。
お馬が通るときに、ぴょんぴょん跳(と)びながら
自ら避けることができるからである。
しかしこの句の子雀は、まだ雛(ひな)の状態で
歩くのもままならない様子だ。
そんな雀の雛を拾って、兄妹がこれから育てようというのである。

この句は省略が非常によく効いている。というのは、
兄妹が子雀を拾ってからのことは一切触れられておらず、
「拾ひてよりのあにいもと」とだけ詠んでいるからである。
子雀を拾ってから兄妹がどうなったかということをすべて省略することで、
読み手にいろいろと想像する余地を与えたのだ。

おそらく兄妹は「ああでもない、こうでもない」とはしゃぎつつ、
仲良く協力して子雀を大事に育てたことだろう。