ねこもかぞく
著者紹介(解説):堀本裕樹 著者紹介(マンガ):ねこまき

今日の俳句

第54回

土用鰻息子を呼んで食はせけり

(どよううなぎむすこをよんでくわせけり)

草間時彦

(くさまときひこ)

土用の時期というのは夏の一番暑い盛りでもあり、体力も衰えがちである。
そんなとき鰻を食べると、体から活力が沸いてくるようだ。

この句は、父親が息子を呼んで鰻を食べさせたという
一場面を切り取っている。
「土用鰻」というのは俗にいう土用の丑(うし)の日に食べる鰻のことである。
江戸時代、平賀源内(ひらがげんない)が
土用の丑の日に鰻を食べることを推奨したとも言われている。

この句の息子は何歳だろうと考えたが、
おそらく大学生くらいではないかと想像した。
大学生の一人暮らしで、
あまり食生活が行き届いていないような感じに思えたのである。
父親はその状況を察して息子に電話すると、
「鰻でも食べないか」と誘い出したのかもしれない。

息子は特に父親と話すこともないけれど、
鰻の魅力に惹かれてその誘いに乗ったのではないか。
「この店の鰻、うまいだろ?」
「うん」
そんな木訥(ぼくとつ)な父と子の会話が聞こえてくるようだ。