ねこもかぞく
著者紹介(解説):堀本裕樹 著者紹介(マンガ):ねこまき

今日の俳句

第25回

はじめての闇との出合ひキャンプの子

(はじめてのやみとのであいきゃんぷのこ)

藤原照子

この句にある「はじめての闇」とは、
「ほんとうの闇」という意味合いだろう。
ほんとうの闇は、都市には存在しない。
都市の闇は薄まった、飼い慣らされた闇だ。
いまや田舎の山深いところに行かないと、
ほんとうの闇はない。
なぜなら、今は大抵のところに民家があり店舗があり
自動販売機があり外灯があるからである。

ぼくがほんとうの闇に出合ったのは、
小学生のときだった。
和歌山の熊野の山奥に、祖母の家があったので
そこで闇の恐ろしさを知った。
夜になると、とにかく真っ暗になる。
外灯もないので分厚い闇に覆われ、
外に出ても懐中電灯を持たないことには、
夜は一歩も歩けないのだ。
手探りで進むにはあまりにも恐怖が勝(まさ)る。
そのとき、「ああ、これがほんまの闇なんやな」と
心に刻まれたのだった。

この句では、夏の季語「キャンプ」で闇に出合う。
おそらく都会の子どもだろう。
「はじめての闇」に足がすくんだろうが、
真の闇を知って少し大人になるのだ。