ねこもかぞく
著者紹介(解説):堀本裕樹 著者紹介(マンガ):ねこまき

今日の俳句

第22回

食積の一画すでに嫁の味

(くいつみのいっかくすでによめのあじ)

海輪久子

皆さん、「食積(くいつみ)」という言葉を
お聞きになったことがあるだろうか? 
ぼくはまだ俳句初心者だったとき、新年句会に出てはじめて知った。
俳句をやり始めるとこういうことがよくある。
知らなかった季語や言葉に出合う喜びが、そこにはある。
そんな知る楽しみもあって、俳句がやめられないという人も多い。

食積は新年の季語で、今でいうおせち料理のことである。
祝い肴を重詰めにしたものという意味合いから
食積と呼ばれる。

さて、この句の面白いところは
重箱の一画が「すでに嫁の味」になっていることだ。
義母と嫁とが一緒におせち料理を作ったのだろう。
その重箱の一画に収まるべく、
何らかの料理をお嫁さんに託されたのだ。

黒豆か、膾(なます)か、くわいの煮物か。
お嫁さんはきっと緊張したに違いない。
自分の料理が、義母に認められるかどうかは、
その家に受け入れてもらえるかどうかにも繋がるだろう。
この句からは、嫁の味に義母の頷(うなず)く姿が見える。